能は世界最古の演劇ともいわれる。
しかし、能面師が決して表舞台に出ることがない。
安土桃山時代頃、基本の型が決まり始めてから、その型は数ミリたりとも変わらないよう、受け継がれているのだという。
だから、現代の能面師の仕事は、古くから伝わる能面を忠実に再現していくことなのだ。
能面は演者にとって、表看板そのもの。
面を顔にかけ、一瞬真っ暗な世界で自己催眠をかけ、役に入りこむ。
能面師には、「能舞台の登場人物の性格を面に吹き込む」ことも重要な仕事なのだ。
また、能面は全て人間の顔と同じで、わずかながら左右非対称。
能面の角度や向き、演者の動きによって、登場人物の感情が面ににじみ出るようにするため。
例えば嫉妬の悲しみや怒りを表した女の一つである、般若面。
口を隠してみると、その表情は人間の怒りや悲しみに満ちた顔に見える。
目を隠してみると、悲しみを通り越して舌が伸び蛇に近づいた怒りにあふれた表情になる。
それにしても般若面を見ていると、嫉妬心を抱くというのは、昔の女性も今の女性も変わらないんだなぁと気づかされる。
今回取材した石田清春さんも、実はいろんな顔を持った方なのだ。
会社勤め時代からの電機関係の仕事や、農業、季節になると大川で鮎漁をし、趣味のトランペットも続けているのだという。
取材後、石田さんの奥様から手作りの梅を頂いた。
どの梅も漬け方が違っておいしい!
思わず「お店に出さないんですか?」と聞きたくなる味だった。
帰りにお土産に梅を分けてくださった。
私の食卓には毎日一粒ずつ、奥様から頂いた梅が並んでいます。
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