小鹿田焼といえば、昔「Aさんからもらったこのお皿小鹿田焼なんだよ!!!」と
陶器好きの母が興奮気味に自慢してきたことがある。
あの当時は、「おしゃれな皿だなぁ~」とくらいで、それからは当たり前のように食卓に並ぶ食器の一つとなっていました。
民陶として作られ、古くから庶民の生活の中で息づいてきたものだからこそなのかもしれない。
小鹿田焼の歴史は古いものの、世に広く知られるようになったのは昭和初期と聞いて驚いた。
それまでこんなにも手間ひまかかる作業を小鹿田の地で伝統を文化を守りながら細々と続けてきたのだ。
小鹿田にはこの唐臼がいたるところにあって、「ギー・・・ゴトン、ギー・・・ゴトン」と絶え間なく響いている。
近所同士ということもあり、窯元同士の付き合いも多い。
昔はどこにでもあった古き良き日本の風景が色濃く残っていて、訪れた人を和ませてどこか幼い頃にタイムスリップしたような気持ちにさせてくれる場所だ。
小鹿田焼といえば「一子相伝」というのも特徴の一つ。
今回取材をさせていただいた坂本さんももちろん、坂本家の長男として誕生し、伝統受けを継いだ人のうちの一人だ。
ろくろが回ると話しかけるのを戸惑ってしまうほど真剣で、手の動きはとても繊細。
でも一度ろくろが止まると、大きな声で豪快に笑うとっても明るい職人さんだ。
坂本さんは取材が終わると「これ、どうぞ」とプレゼントしてくださった。
飛び鉋が施されたカップ。
こんな手間ひまかけられた大切な作品をいいのかな・・・と思ったが、よくよく考えてみると「母が昔から大好きで!!!」と自分から語ってしまっていたことを思い出し、少し申し訳なくもなってしまった。
でも、せっかく頂いたもの。大切に使おう!
私の好きな飛び鉋の装飾に、手に持ったときのなじみがとても気持ちよい大きさ。もうすっかり私の食卓、ティータイムの必需品だ。
坂本さんが言うように、「陶器はいつかこわれてしまうもの。」
でも、私たちに「またほしい」と思わせてくれるからこそ、小鹿田焼はずっと未来につながっていくのだろうと思う。
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