今回は「日本障がい者スポーツの父」と呼ばれる中村裕博士についてご紹介しました。
大分の障がい者スポーツの代表と言えば、番組でもご紹介した「大分国際車いすマラソン大会」ですね。
世界で初めて車いす単独のマラソン大会として開始されたこの大会は、今年で35回目を迎えます。
実は今大会から大幅な変更があるんです。
より多くのトップアスリートに世界中から参加してほしいと、優勝賞金及び記録更新賞金が大幅に増額されています。これまでT34/53/54クラスの優勝賞金が30万円だったんですが、今回からなんと100万円に。世界記録の更新では20万円から100万円になっています。
やはり世界でも有数の競技会としての意気込みを感じます。
さらに今回の大会は2016年のリオデジャネイロパラリンピックの選考会にも指定されている為、ハイレベルなレースになることは間違いなしですね。
実際競技を見てみると、スピード感やランナーの体格に圧倒されます。
パラリンピックでもランナーは50名程度なので、200名以上が一斉に大分の町を走り抜ける様子は他にはなかなかありません。ぜひ生で体感していただく事をお勧めします。
またボランティアの方々も県内外から多数参加されているのですが、競技運営以外、ランナーに過度なサポートはしていないことに驚かされます。
ほとんどのことはランナー自身が行っています。
こういったところにも「障がい者の自立」という中村博士の理念が根付いています。
さらに参加者から「大分は車いす使用者に対する視線が優しい」という意見も多数聞かれ、県民の中に障がい者を受け入れる意識が育まれています。
こういった様子を見て、中村博士が生きていたらどう思うのか気になりますね。
さて、先日天皇皇后両陛下も訪問され創立50周年を迎えた「太陽の家」も中村博士を語る上では欠かせません。一施設に天皇皇后両陛下が3度も訪問されるのはたいへん珍しいことなんだそうです。それだけ、日本にとっても注目すべき施設なんでしょう。
「太陽の家」内にある資料館には、歴史を示す写真をはじめ中村博士ゆかりの品々が数多く展示されています。
古いカメラや無線機などもあり、中村博士の趣味も垣間見えるところとなっています。
今
回特別にお邪魔させていただいた、三菱商事太陽株式会社のオフィスでは、車いすが通りやすいように床にはケーブル類がなく、幅が広い通路になっていたり、
各スイッチ類も車いすに座ったまま手が届くよう低い位置に設置されていたりと、障がい者が安心して仕事ができるように配慮されていました。
会社としてこういったことができる事はすばらしいと感じました。
中村裕博士が提唱した障がい者に対する考え方と、障がい者スポーツのありかたは、日本中に影響を与えています。
その理念を私たちもしっかりと受け止め、このように偉大な方がいたことを私たちは後世に伝えていかなければいけませんね。